職場で自身の子供や孫等の面倒を見ながら働くことが可能な「子連れ出勤制度」が全国の自治体で導入が広がっています。
2023年3月に全国の自治体で初めて「子連れ出勤制度」を導入した(愛知県)豊明市役所を筆頭に、2023年4月(愛媛県)四国中央市役所、2023年8月に(岐阜県)高山市役所と続いています。(試験運用含む)
また、導入した自治体の職員からは「子供を見ていると癒される」「近くで子どもの様子を見ながら仕事ができて安心」「働き方の選択肢が増えるのは良いことだと思う」というプラスの意見から、「仕事の効率は少し下がった気がする」「子どもの行動が気になり仕事がはかどらなかった」というマイナスの意見もありました。
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(愛知県)豊明市役所の制度概要
名称 | ワークwithチャイルド(愛称:ワチャ) |
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目的 | 豊明市では多様な働き方のモデルの一つとして、「仕事と子育てを両立できる柔軟な働き方」の普及啓発とともに「子どもと子育て家庭」への理解を深め、より一層子どもと子育て家庭に温かい地域づくりの機運を醸成するため、緊急一時的に利用することのできる「子連れ出勤」を導入。 |
内容 | 多様な働き方の選択肢の一つとして、職員が自分の子又は孫を連れて出勤し、所定の場所で帯同して業務を行う |
実施期間 | 令和5年5月1日から通年実施 |
対象職員 | 市役所庁舎内及び図書館勤務職員 |
帯同対象 | 0歳~小学3年生 (2人以上の子供を連れてくることも可能) |
帯同場所 | 所属の各課(室)内及びサテライトオフィス (作法室及び会議室9(兼女性休憩室)をサテライトオフィスとします) |
帯同要件 | ・緊急一時的な措置として、子どもを職場に帯同することが最良であること (保育園や幼稚園、児童クラブ、学童保育、祖父母、在宅の配偶者等、普段の預け先等に預けることができず、短時間でも職場に出向いて仕事をする必要がある状況が発生した場合に、知らない所(人)に子どもを預けるよりも職場に帯同することが子どもにとって良いと思われるとき) 例)預け先施設の一時的な閉鎖(学校(学級)閉鎖を除く)、振替休園、祖父母や配偶者の用事など |
禁止事項 | 1.子どもが体調不良のとき及び学校(学級)閉鎖のときの利用 2.子どもを現場に帯同させること 3.子どもを他の職員に一定時間以上見守り等させること 4.職務に専念できない場合の利用 (利用職員又は所属長が、職務専念義務に反すると判断した場合には、早退するなど時間単位年休を取得する。) 5.業務に支障がある場合の利用(個人情報、公文書取扱いの観点を含む) |
その他 | 1.利用職員は所属長に報告すること(緊急時は事後報告可) 2.利用職員は、子どもが職場で過ごすために必要なものを持参すること 3.利用職員は、子どもの事故防止に留意し責任を負うこと(事故防止の観点から、帯同場所の改善すべき点は所属長へ相談すること) 4.所属長は、利用職員がいる場合に市民へ周知すること |
出典:子連れ出勤(ワークwithチャイルド【愛称:ワチャ】)の導入について(豊明市)
豊岡市は、2023年3月6日~4月7日まで、ワークwithチャイルド(子連れ出勤制度)を試験運用を行い、2023年5月1日から本格的に導入しました。
試験運用では、帯同対象の子供がいる職員のうち26.6%。約200人の該当者のうち23人の職員(男性職員10名、女性職員13名)が利用、31人の子供が来所しました。
この中で「また利用しても良いと思った」と回答した職員は71.4%でした。
子連れ出勤制度の本格導入後、自治体の注目が集まっています。
(岐阜県)高山市役所の制度概要
名称 | 子連れ出勤制度 |
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目的 | 職員の働き方改革や多様な働き方が求められる中、子育て環境を充実させるため |
内容 | 職員が小学3年生以下の子どもや孫を連れて出勤し面倒を見ながら仕事ができる制度 |
実施期間 | 2023年8月1日~17日(試行期間) |
帯同対象 | 原則0歳~小学校3年 |
帯同場所 | 庁舎内の会議室を利用して勤務 |
帯同要件 | 保育園や学童保育などの普段の預け先に子どもを預けることができない場合など、利用できる要件を取り決めて実施 |
その他 | ・職員自身が子どもの見守りを行うこと ・子どもが過ごすために必要なもの(食事、おむつ、勉強道具、遊具等)は持参すること ・業務の著しい遅滞や市民サービスの低下を招くことのないよう、所属長と協議のうえ業務内容などを定めて行なうこと |
参照:PR TIMES
子連れ出勤制度の試行では、高山市役所(本庁舎)に勤務する正規職員14名から申し込みがありました。
利用した職員からは「いつもは学童に預けているが、お盆の期間中は休館している時もあるので助かる。在宅勤務より市役所のほうができる仕事も多いのではかどる。」、「働き方の選択肢が増えるのはいいことだと思う。近くで子どもの様子を見ながら仕事ができて安心。」などの意見が挙げられました。
今後、子連れ出勤制度を本格的に導入するかは現在、検討がなされています。
なお、子連れ出勤制度の試行は岐阜県内の自治体で初めてです。
(愛媛県)四国中央市役所の制度概要
名称 | チャイルドケア・アット・オフィス(愛称:チャオ) |
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目的 | 職員の子育て支援や多様な働き方を推進することが主な狙い |
内容 | 職場で子や孫の面倒を見ながら働ける制度 |
実施期間 | 2023年7月21日から8月末(予定)試験的な運用を開始 |
対象職員 | 約70名が対象 |
帯同対象 | 原則0歳~小学校3年 (小3以下の兄弟姉妹がいる場合は小6まで) |
帯同場所 | ・現在の職場 ・市役所本館の一室を改装したサテライトオフィスのいずれか |
帯同要件 | ・休園・休校や祖父母らの体調不良で預け先が見つからない場合 ・休みの日に仕事が入った場合 急を要する場合を想定 |
四国中央市役所では、豊岡市役所の事例を中心に、子連れ出勤制度を試行しました。
また、豊岡市役所の事例では「公務員だけが制度を利用できるのは不公平だ」といった市民の声も寄せられたことから、試行後、職員や市民にアンケートを実施し、その結果を踏まえて正式に導入するかを判断します。
まとめ
子連れ出勤制度は、働く親が子供を保育園や学校に預けることなく、子供を職場に連れて行くことができる制度です。
この制度は、仕事と子育ての両立を支援し、自治体の職員がより柔軟に働きやすくするために導入されました。
利点としては、親は子供との時間を増やすことができ、子供の成長を近くで見守ることができます。また、仕事と家庭を両立させるためのストレスが軽減され、従業員のモチベーションや生産性が向上することが期待されます。
課題としては、例えば、職場内での子供の行動や騒音に関する問題や、専用のスペースや設備の提供、ルールやガイドラインの策定、市民や職員からの賛同など、検討する必要があります。